【投稿】私にとっての見沢知廉・・・・・青い雪
※この文章は「青い雪」さんからの投稿を若干手直ししたものです(朱斑羽)
見沢さんとは、数年前出版社のパーティーでお会いし、見沢さんはホストのような紫のスーツを着て、
香水をぷんぷんさせていたので、オタクが多い文学パーティーで異彩を放っていました。
私が「変わったお名前ですね」と言うと、「本名は平凡なんですよ、高橋哲央っていうんです」
と答えてくれました。
それが一変するのは私が自宅を突然訪ねたときです。いただいた名刺にあった電話がファックスになってしまうので、
自宅へ行くと、寝ぼけ眼の見沢さんが汚いエプロン姿で出てきました。部屋を覗き込むと雑誌の束やゴミが散乱し、
文字通り足の踏み場もない状態(笑)。男くさい悪臭も部屋から漂ってきて、床もべたついてる。
そのとき血液型の話になって、私が「A型の男ってダメ」と言って何型か聞くと「A型〜」
とふてくされたように答えました。それから東北地方でお母様が精神科の看護婦を
なさっている話もして、それから私を他の知ってる女性たちと比べ始め、
「どうですか?」と聞くと「ちょっと太ってる」と言うので怒ると、
「自分だってこんなぼろぼろの姿を見られちゃったんだぜ」とこぼしていました。
それから見沢さんから明け方に右翼の凱旋の曲などが留守電に入れられたりして、
病んでるんだなあと思っていました。自殺と聞いてもありえる話だなあと思います。
しかし見沢さんの実態は硬派な文学と無縁の、気弱なお兄ちゃんでした。
アポなしで見沢宅へ突然行った一昨年の夏の朝のことは、忘れられません。
パーティでのファッション、会話などと寝ぼけ眼の汚れたエプロン姿の見沢さんは全然違い、
相当作っているなと思ったし、本人も気にしていた。三島由紀夫ばりに創って疲れてしまった
のだと思う。本当の彼を知って支える人が回りにいれば、こんなことにならなかったと思った。
私にとっての見沢さんはカリスマでも何でもなく、弱く大人しく不安定な人という印象でした。いいお兄さんという
感じです。書いている文章と全然違います。かなりかっこつけてて(笑)、本人も「姿ばれちゃった」と恥ずかしそ
うに頭かいてました。(青い雪)
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